まだ朝の5時。今なぜか和也の家の前にいる。
まだ寝ているだろうと思ったけど、自然とインターホンを押していた。
++2つの扉(6)++
・・・・・・ピンポーン。
鳴らしてから10秒もしないうちに和也は出てきた。
『!?・・・ぇっ!?』
「・・・・・・・・。」
『とりあえず入れよ。』
「うん。」
私は平然とした顔で和也の家に入った。
『来ないんじゃなかったの?』
「・・・・・ぅん。」
『・・・・でもさ、からきてくれたのって初めてじゃない?』
「そう・・・・・だっけ。」
『なんか硬いなぁ。もっと楽にさぁ。』
「・・・ぅん・・・・・・・・・・・・・・・・あたしね・・・・。」
『ぅん?』
「あたし・・・・和也の優しさの触れたい。」
『ぇ?』
「今までみたいじゃなくてもっと優しく・・・ね?」
自分でも何を言ってるのか途中でわかんなくなった。
でも多分、私自身雅紀の優しさの惹かれつつも和也を忘れられてない。
和也・雅紀のどちらか一人のものになるという前に、
いつも激しく手荒な和也の優しさに触れてみたかったんだと思う。
それを気づかせてくれたのは・・・・雅紀だった。
雅紀を感じていてもどこか和也と比べてる。
それは私自身、和也をココロのどこかで想っているからに違いない。
だからこそそれを確認するためにココへ来た。
『・・・・・・・・おいで?』
「ぅん。」
両手を広げ私を待つ和也の腕に抱かれそっとキスをした。
それは今までにないほど優しく甘く・・・・とろけるようなキスだった。
そっと唇を離すと和也はこう言って来た。
その言葉は今までの和也から聞けるような言葉ではなかった・・・。
『用って言うのは・・・・・・聞いて欲しいことがあったんだ・・・・・・。
・・・今までゴメン。俺・・・・がホントに好きだったんだ。だれにも渡したくないくらい好きで好きで仕方なかった。
自分のものにしたいって気持ちばっかり突っ走っていつも強引で・・・。
が妊娠したって聞いたときは・・・ホントは嬉しかったんだ。でも・・・俺には育てていく自信がなかった。
・・・・俺だって「おろせ」なんて言いたくなかったんだけど・・・でも仕方なかったんだよ。
俺の気持ち・・・・・わかってくれ・・・。』
「・・・・和也・・・・・・・・・。」
『・・・・・いつも強引でゴメン・・・・。そうでもしないと・・・・・俺・・・・・・。』
「もういいよ・・・・。」
『ぇ・・・?』
「・・・・・私初めて思ったの。和也の優しさを感じてみたいって。
それを教えてくれた人に・・・いまは少し感謝もしてる。」
『教えてくれた人?』
「うん・・・。その人の優しさに触れてるとき・・・・考えてたことは和也のことだったの・・・。」
『・・・。』
「だから・・・・・今までみたいに強引すぎるんじゃなくて、優しい和也を感じたいの。」
『・・・・わかった・・・・・・・。』
いろんなところに優しくキスを落とし紅く染める。
いままでの冷たく尖った鋭い目ではなく暖かく穏やかな表情の和也。
自分がこの優しい和也を引き出したのだと思うと自然に笑みが零れる。
『?』
「ん?」
『なんで笑ったの?』
「嬉しいからだよ・・・。」
いつもはすぐに入ってくる。
でも今日は違う。
そして優しく愛撫をはじめた。
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久しぶりのウラです♪
和也さん・・・優しくなっちゃったよ!?
どうなることやら・・・。
莉衣 2004,8,25